校長より
「学びの森 高松」の一層の充実を目指して
校長 中山 幸子
高松中学校は、戦後間もない昭和24年4月、新制中学校として、港区立白金小学校の校地に開校し、同年5月に現在の場所に移転し、新しい校舎での学校生活が始まりました。現在の校舎がある場所は、高松宮邸の敷地の一部を譲り受けた由緒あるところです。さらに、同年11月2日、高松宮殿下御考案の校旗を御下賜いただき、以来その日を開校記念日としています。
高松中学校の草創期については、同窓会保存誌「宮様と高松中学校の生い立ち」に、当時の写真とともに簡潔にまとめられています。本校が、高松宮様の「この地を教育施設に生かして欲しい」とのご意向があって開校となった、全国に例のないオンリーワンの中学校であることは、諸先輩方同様、現在の高松中生も誇りにしているところです。
宮様との絆は、学校のシンボルである校旗を自らデザインされ、御下賜いただいたことに止まりません。「焼け跡の東京には、まともなプールなど一つもなかった」ときに、宮邸の「透明な水を満々とたたえたプールをお貸しいただいた」水泳指導や式典へのご台臨など、教育への深いご理解に基づく交流もさせていただいたと伝えられています。宮様のご厚情に励まされ、当時の在校生は、「知・徳・体のあらゆる面からずいぶんと鍛えられ、スポーツの成績はもとより、進学率も抜群であった」と記されています。
両殿下がご台臨になった創立15周年の年の在校生については、「お互いに仲間を思い、母校の伝統を大切にする心の深さ」や「高松精神を語り継いでいこうとする、お互いの心の対話に根ざす温かさと絆の強さ」があると書かれています。このような先輩方の姿は、現在在籍する子どもたちにも校風として受け継がれています。
創立30周年記念誌によると、校歌の作詞者巻島強力さんは、「学校を文化の花園に見立てた」着想の下に詩を書かれたそうです。〈緑あふれる高松の森という自然に抱かれて、文化の花が咲きかおる学び舎〉は、現在も高松中学校が目指している姿でもあります。
現在、本校では、平成26年度に策定された「港区教育ビジョン」「港区学校教育推進計画」に基づいた教育活動を展開しています。「徳」「知」「体」を育む学びを大切にし、生徒にとってより一層「わかる授業・楽しい授業・参加できる授業」を実践することで、「今日が楽しく、明日が待ち遠しい学校」となるよう、日々の教育活動に取り組んでいます。また、本校の教育活動の根幹となっている「高松中生のあたりまえ」【あいさつ・返事は元気よく、チャイム始業、自ら正す「フォーマルゾーン」、人を認める「高松生活ノート」】の更なる定着を図っています。
そして、本校の歴史と伝統を基盤として「学びの森 高松」の一層の充実を目指し、一人ひとりの生徒が高松中生としての誇りをもち、先輩から後輩へよき伝統を引き継いでまいります。
保護者・地域・関係諸機関の皆様方には、一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。